「ちょ、まって……色々考えさせて」

「うん、好きって気持ちを理解するのって難しいもん。ゆっくりでいいと思うよ」

 三ツ矢さんは微笑みながら、何度も何度も深く頷いた。

 そうこうしている間に、教室に何人か男子が入ってきた。その中には秋汰もいた。

「おはよーって、三ツ矢さんと津村2人?」
「おぉ、おはよ」

 秋汰が俺らの方へと歩いてくると、三ツ矢さんはなにか思い出したかのように、手を叩いた。

「おはよ〜! あ、そういえば職員室行かないといけないんだった。行ってくるね!」

 三ツ矢さんが慌てて教室を出ると、秋汰は自分の席へと座った。

「何話しとったん?」
「別に……」

 どうにか悟られまいと、できるだけ秋汰から目線を逸らす。
 でも、秋汰はそれに納得がいっていないようで、しつこく問いかけてきた。

「えぇ、教えてやー!」
「強いて言うなら、恋バナ……?」

 言葉を濁しながら答えると。秋汰はキラキラとした目で詰め寄ってきた。

「つむの恋バナ聞きたかったわー! 何話したん?! 教えてや!」
「絶ッッッ対、やだ」
「なんでーや!!」

 秋汰は頬を膨らませながらそう言った。

 言えるわけねぇじゃん……
 

 ――俺が秋汰のこと好きかも。なんて