いつもより早く教室についた俺は、自分の机に突っ伏して仮眠を取ろうとした。

 ウトウトし始めた頃に、誰かに肩をポンポンと叩かれ、びっくりして思わず飛び起きた。

「ぅわ! ……え、三ツ矢さん……?」
「あ、起こしちゃった? ごめんね。おはよう!」
「おはよ……」

 わざわざ俺に挨拶してくるなんて珍しいな……今までなかったのに。
 なんて思っていると、三ツ矢さんは自分の席に向かうことなく、俺の目の前で立ち止まっていた。

「あれから茜くんとはどうなの?」

 そうだ、そういえばそんな勘違いされてたな。
 すっかりその事について忘れていた俺は、三ツ矢さんの問いかけで、勘違いされたままの例の恋バナを思い出した。

 確か、俺が秋汰のことを好きだと勘違いされてて……三ツ矢さん的には、秋汰も俺のことが好きなんだっけ?

 ……そんなことあるわけないのに。


「どうって……いつも通り、だけど」
「もったいない! いつもあんなにベタベタなのに! 何か行動起こさないと……何も始まらないよ?!」

 三ツ矢さんはグイグイと詰め寄ってきながらそう言った。
 何も始まらないと言われても、何か始める気なんて全くねぇしな……

 いや、まず冷静に考えて、誤解をとくべきなんじゃね……

 今なら教室に俺ら以外誰もいないし、丁度いいタイミングだろ