「じゃあ、待ってるからね! またね〜」

 そんなことを考えていると、女子2人はそう言い残し、秋汰に手を振りながら教室を出ていった。
 って、あれ、三ツ矢さんどこ行った? ……相変わらず台風みたいだな。突然どこからか現れ、いつの間にか居なくなってる。

 三ツ矢さんを探すのに辺りを見渡していると、教室に残っているのは俺ら2人だけになっていた。

「なぁなぁ、今日ちょっと時間潰して帰らへん?」
「いいけど、どした?」

 俺がそう聞き返すと、秋汰は少し困ったような表情でこう言った。

「ここだけの話、あの子苦手やねん。なんか俺が終わるまで待っとるらしいねんけど、時間かかったら諦めて帰るやろ」

 秋汰にしては珍しい、すげぇ塩対応だな。誰にでも人懐っこいのかと思ってた。
 まぁ、さっきの子は割とグイグイ来るような感じだったし、もう一人も応援してるよ! くっつくよね? みたいな圧が凄かったからな……。

「んー、じゃあ時間潰しながら日誌書くか」
「せやな!」

 秋汰は俺の隣の席に座ると、席をくっつけてきて、机に突っ伏して日誌を書き始めた。

「……でもさ、女子たちにすげぇ応援されてんじゃん」
「せやけどなぁ……付き合う気とか全くないしなぁ。ちゃんと否定しとかんと勘違いされたら嫌やし」
「まぁ、それはそーだな」
 
 秋汰がそんな真面目に考えてたなんて思ってもみなかった。
 この前はあんな冗談返してたのに。よっぽどあの女子が苦手なんだろーな

「もしかしてつむきゅん寂しいん?」

 俺が色々考えていると、秋汰は得意げににそう言い、俺の方へと寄りかかってきた。

「なわけ」
「相変わらずツンデレやんなぁ」

 ツンデレと言われたことにムッときた俺は、秋汰の頬をぺち、と叩いた。

 寂しいなんて思ったこと……一度もねぇよ。