いつもと変わらない放課後……のはずが、今日はやけに騒がしかった。

 女子が俺らの方を見ては、キャーキャーと声をあげている。

「なんかすげぇ賑やかだな」
「ほんまやな? 祭りかと思ったわ」

 秋汰の隣が体調不良で休みのため、席が後ろの俺が、今日は秋汰と日直をすることになっていた。

 めんどくさいけど仕方ない。そう思いながら日誌を開こうとしたその時、クラスメイトの女子二人が話しかけてきた。

「秋汰! 今から帰り?」

 明るい茶髪のポニーテールが特徴的な女子。秋汰とも仲が良さそうだし、賑やかなグループのうちの一人なんだろう。

「日誌書いてからやないと帰れんから、まだやで」
「え、ねぇねぇ、二人めっちゃいい感じじゃん! インスタでも……ね?」
「え、えへへ……」
 黒髪ショートヘアの女子が茶化すようにそう言うと、ポニーテールの女子は照れくさそうに頭をかきながら微笑んでいた。
 
 見ただけで分かった。この女子、秋汰のことが好きなのか。

 ってか、インスタでもって……何かあったのか?

「津村くん津村くん」
「うわ、びっくりした……。あー……三ツ矢さん、だっけ……?」

 秋汰と女子2人が話してるのを他所に、秋汰達にばれないようにしゃがんで、小声で話しかけてきた三ツ矢さん。

「これ見て、これ!」

 こっそりと俺にだけ見せてきたスマホの画面には……

 遠くから撮ったであろう秋汰の寝顔と、その女子のものであろう手が写っていた。
 しかもその指は、ご丁寧にハートになっていた。

 ああ、例のインスタのって……これの事か。
 三ツ矢さんまで知ってるってことは、クラスの女子が騒がしかったのもこれのせいか。

「津村くん、放っておいていいの? みんな花乃ちゃんを応援する流れになってるよ?!」
「いいのって言われても……」

 俺は別に、この女子と秋汰が付き合おうが関係ないし、どーでもいい。