「なぁなぁ、つむって好きなタイプとかあるん?」

 話題を変えようとしてるのか、秋汰はキラキラとした目で問いかけてきた。

「好きなタイプ?」
「付き合うなら、こういう人がえぇな。とか、あるん?」

 付き合うなら……
 マジで今までそういうの考えたことなかった。
 それも、今まで本当に恋愛に無頓着すぎたし、興味が無さすぎたせいだと思う。

「秋汰は?」
「俺?! 俺はなぁ……優しくて、いつも話し相手になってくれる人、やな!」
「へぇ……」

 そんなの星の数ほどいると思うけどな。そもそも秋汰は友達が多いから、皆から優しくして貰えると思うし、話し相手なんて無限にいそうだ。

「ちょ! なんやその反応! つむはどうなん? 俺言ったで?」

 うわ、このまま話題逸らせねぇかなって思ってたのに。
 いや、そもそもなんて返せばいいか純粋に分かんねぇ。

 秋汰がこんなガチっぽいのを馬鹿正直に言うとは思ってなかった。
 俺も真面目に言わないといけなくなってくんじゃん。

 ……タイプ、か……。

「……可愛くて、人懐っこくて憎めねぇやつ……?」

 気付いたらそう口走っていた。

 いや、ちょっと待て……俺、誰のこと言ってんだ?
 可愛くて、人懐っこくて、憎めないやつ……?

 マジでヤバい……。
 女子の好みがわかんなくなってきた。それなのに妙に具体的なの出てきて焦ったわ……

「へぇ、つむはそういう系が好きなんやな!」

 まぁ、なんか秋汰も納得してるみたいだし、とりあえずこれ以上深堀されなければ大丈夫か……。