あれから俺も教室へ戻り、席に座ると、すぐに秋汰は振り返り詰め寄ってきた。
「なぁなぁ、三ツ矢さんに呼び出されたん、何やったん?」
「……別に、なんも……」
「絶対嘘やん! 告白されたん?」
「ちげぇよ」
どれだけ濁しても、秋汰はしつこく問いかけてくる。
そんなに質問攻めされても、何も答えたくない。
つーか、何でそんなに気になるんだよ……
「告白だったら……どうなんだよ」
「いや、それはさ……嫌やん……?」
逆に質問して主導権を握り、話題を変えようとすると、秋汰は気まずそうに目を逸らしながらそう答えた。
嫌って……何でだよ……
” でもさ、茜くんも津村くんのこと好きだと思うよ?”
さっきの女子の言葉が脳内に響き渡る。
コイツが俺の事好き……?
告白されたのを気にするのも、嫌だったって言うのも……それが理由ってこと?
「…………」
「ちょ、何黙り込んでんねん」
「なぁ、お前ってマジで好きな人いねぇの?」
「……へ?! な、なんなん? いきなり……」
逆に俺は秋汰に詰め寄り、問いかけた。
すると、目に見えるレベルの慌てっぷり。
そして、なんか視線を感じてそこに目線をやると、さっきの女子が笑顔で頷いている。
……はぁ、マジでどーすればいいんだよ。
「お、おらんよ……?」
「……はいはい」
仮に、コイツの好きな人がマジで俺だったとして、今ここで気持ちを告白されても……なんて言えばいいか分かんねぇ。
もちろん付き合うなんて考えは毛ほどもない。けど……バッサリ断ってしまうのも、可哀想な気もする。
いつもキラキラした目で俺に話しかけてきて、ベタベタ引っ付いてくる。それは全然嫌じゃない。
でも、かと言って付き合えるか? って聞かれたらそうじゃない。
そしてこの話は、先生が入ってきてホームルームが始まったことによって、終わってしまった。