「えっ、そういう事だったんだ〜!」

 女子は納得したのか、「だからあの時……」やら「ってことは……」と、独り言をぶつぶつ呟いていた。

「でもさ、茜くんも津村くんのこと好きだと思うよ?」
「は……?」

 やっと誤解がとけた。そう思った瞬間、新たな衝撃の一言が投下された。

 秋汰が俺のこと好き……? ってか、そもそも秋汰”も”って何だよ。

 なんか、まるで俺が秋汰を好きみたいな言い方だし……

「だってさ〜、その日からだよね? 津村くんと茜くんがベッタリになったのって」
「え、ちょ……」

 この女子、すげぇ鋭い。
 そんな日付までぴったり観察されてたなんて……。
 これには何も言い返せない。だって、事実、その日から秋汰との距離が近くなった。

「多分、茜くんも津村くんのこと意識してるんだよ!」
「ちょ、ちょ、ちょ……え?」

 なんか……すげぇ盛大な勘違いになっていってる気がする。
 否定したいのに、女子の勢いがすごすぎて、流されそうになる。

「だってさ、茜くんに愛されてる。って感じするもん!」
「……ッ!」

 もう少しで目と鼻の先の距離。それくらい近づいてきた女子は、キッパリとそう言った。

 愛されてる? 俺が秋汰に? そんなふうに見えてんのか……?
 ってかそもそも、秋汰が俺の事好きってマジ……?

 あのキスした日から……?

「愛されてる……?」
「うん! だって、学校にいる間ずーっとベッタリじゃん! だから私、二人のこと応援するよ!」

 女子はそれだけ言い残すと、教室へと帰っていってしまった。

 マジで何だったんだ? アレ……