「俺、思ったんだ。コトハは自分に自信がないから人と比べちゃうのかもしれないって」


 本当にそうなんだと思う。そして、自信をつけられるのは、やはり自分で決めたことを自分のために自分の力で、最後までやり通したときだ。それから、人からもらえる少しだけの褒め言葉というスパイス。


 大事なのは結果じゃない、とは言わない。けれど結果だけじゃない。


 ユイさんのおかげで私は最近よく考えて、成長することができている気がする。


「コトハはここに来るの楽しい?」

「楽しいです。それに落ち着く」

「そういうのも大切なんじゃない? 自分の好きなことしているうちは、他人のことなんて考えなくていいんだから。好きなことしてる自分が世界で一番幸せっていうメンタルで、自由に生きてみなよ。俺みたいに」


 ユイさんはそう言ってそこに掛かっていたギターを弾き始め、好きだと言っていた曲を歌い始める。


 別に上手くもないように感じるけど、すごく楽しそうに。

 
 私も一緒にメロディーを歌ったりして。


 敏さんがやれやれ、とでも言いたげに苦笑いをして、でもそのうちハミングで乗ってくる。