「……ん……もう朝か……」

私は目覚ましを止めると起き上がり、カーテンの隙間から空を見上げた。

「いい天気……雲一つないや。卒業にぴったり」

私は今日が自分にとって色々な卒業だと思うと、ほとんど眠れぬまま朝を迎えてしまったが、この空と同じように今日という日を最後に心のモヤを全て吐き出してしまえたらどんなにいいだろう。

「これ……渡すタイミングあるかな……なかったらなかったで……仕方ないよね」

私は机の上のソレを鞄に入れると朝食をたべ、いつもの通りの時間に家を出た。エレベーターで一階に降りればマンションのエントランスにはいつものように琴乃が一番に待っている。

「あ、琴乃おはよう」

「由花おはよう。じゃあ、いこっか」

「え?司は?」

「今日は最後の登校なのと、由花にお願いしたいこともあったし、司には先に行ってもらったの」

琴乃がにこりと微笑むと私の隣に並んで歩き出す。いつも三人一緒に登校していた為、こうして琴乃と二人で登校するのはいつぶりだろう。