「司、これ預かった」
私は『香坂司様』と書かれた差し出し人不明の手紙を司に差し出した。
「え?俺に?」
司は封筒を受け取り、裏を向けるとすぐに難しい顔をする。
「由花、これ誰から預かった?差し出し人書いてないんだけど」
司の顔を見ればバレてしまいそうで、私は前を向いたまま返事をする。
「……うん、私の同じクラスの子なんだけど、司のことがずっと好きだったらしくて……でもその……琴乃のことも知っててね。だから最後に想いだけ伝えたいからって預かったの。良かったら読んであげてくれない?」
「分かった、今から読む」
「えっ!今から?!家帰ってからでいいんじゃない?」
「いや……誰かわかんないけど、その……せっかく俺に書いてくれたんだし、俺からの返事を由花からその子に伝えてあげてくれない?」
「あ、うん……」
見た目とは違って根が真面目な司らしく、封筒に止められた桜模様のシールを丁寧に剥がすと、中から封筒を取り出し真剣な表情で視線を流し始めた。私の心臓は爆発するんじゃないかと思うほどにドクドクと音を立てて、呼吸が苦しい。私は桜を見上げるふりをしながら、何度も深呼吸を繰り返した。
司は読み終わると丁寧に手紙を元通りに仕舞い、私の方を見た。
「由花、読み終わった」
「うん……」
「今から言うこと、伝えてくれる?」
私が頷くと司は足をとめてから、真っ直ぐに私の瞳を見つめた。
私は『香坂司様』と書かれた差し出し人不明の手紙を司に差し出した。
「え?俺に?」
司は封筒を受け取り、裏を向けるとすぐに難しい顔をする。
「由花、これ誰から預かった?差し出し人書いてないんだけど」
司の顔を見ればバレてしまいそうで、私は前を向いたまま返事をする。
「……うん、私の同じクラスの子なんだけど、司のことがずっと好きだったらしくて……でもその……琴乃のことも知っててね。だから最後に想いだけ伝えたいからって預かったの。良かったら読んであげてくれない?」
「分かった、今から読む」
「えっ!今から?!家帰ってからでいいんじゃない?」
「いや……誰かわかんないけど、その……せっかく俺に書いてくれたんだし、俺からの返事を由花からその子に伝えてあげてくれない?」
「あ、うん……」
見た目とは違って根が真面目な司らしく、封筒に止められた桜模様のシールを丁寧に剥がすと、中から封筒を取り出し真剣な表情で視線を流し始めた。私の心臓は爆発するんじゃないかと思うほどにドクドクと音を立てて、呼吸が苦しい。私は桜を見上げるふりをしながら、何度も深呼吸を繰り返した。
司は読み終わると丁寧に手紙を元通りに仕舞い、私の方を見た。
「由花、読み終わった」
「うん……」
「今から言うこと、伝えてくれる?」
私が頷くと司は足をとめてから、真っ直ぐに私の瞳を見つめた。