僕と彼の怪異物語零

妖界から人間の世界へ戻ってきた。
時間が掛かるかと思ったけれど、数分で戻ってこれた事にびっくり。
新城の話によると二日間、僕達は妖界へ行っていたらしい。
騒ぎになるかもしれないと思ったけれど、そこは新城の恩師という人が根回しをしてくれているから大丈夫。
それで、僕と新城がやってきたのは。

「僕の家?」
「オーオー。中々にひどい事になっているなぁ」

僕の家をみて新城が顔を顰めている。
家になにかあるだろうか?
もう一度見てみると、うっすらとだが、変なものに家が包まれているような?

「お前が呪われていたように、この家や中の人達も呪われているみたいだな」
「そ、か」
「まずはここの解呪……といきたいところだが、根本から断つとしよう」

新城はそういうと家に背を向けて歩いていく。
僕はその後をついていく。
しばらくして、たどり着いたのは油目の家。

「え、ここは」
「知っているのか?」
「その、昔からの知り合いの家」

幼馴染という言葉に抵抗があって言葉を濁す。

「ふーん、ま、いいや」

新城はドアホンを鳴らさずにそのままドアノブへ手を伸ばす。

「ツッ!」

顔を顰めてドアノブから手を離す。
新城の指先から血が流れていた。

「新城!?」
「大丈夫だ。成程、じゃあ、久々に本気をだすかねぇ?」

好戦的な笑顔を浮かべた新城はドアノブへ手を触れる。
バチバチと紫電が飛び散る中で乱暴にドアを開けた。

「さぁ、化けの皮を剥いでやる」