「縁、今日は仕事片付けてくるから遅くなる。戸締りしっかりな」

「わかったわ。無月は黒藤と一緒なのよね?」

「ああ。涙雨、呼んだら来てくれよ?」

「はひふぁふぁっふぁ」

……いつもの喋り方からして、「あいわかった」と言いたかったんだろうな。

口の周り飯粒だらけだ。こういうところ、子供扱いで食べ方を教えてやった方がいいのか? 

涙雨は黒藤の式の中で最年長だけど。

黒藤は考える。そりゃあ、白との子どもが出来たら……………………。

「黒藤、何紅くなってんの? ヘンなことでも考えた?」

「いや、ちょっと素敵妄想を」

「ヘンなことよ、それ」

縁にもの凄く冷たい目で見られた。

黒藤としては、白との将来素敵妄想だったんだけどなあ。

白が嫁さんで、子どもたちと一緒に暮らしてるっていう。

ちなみに白桜だったらここで、「変態!」って怒鳴ってかかと落とし喰らわせてくるんだろう。

黒藤として言い張りたいのは、マゾではないということだ。

殴られたり蹴られたりするの、普通に痛いから嫌だし。

だが白桜の攻撃は照れ隠しだから、ひたすら可愛いだけな黒藤だ。

白桜も公言する通り、攻撃してくるのは黒藤にだけだ。と言うことは、黒藤に対してしか照れないということか。

………………………。

「……黒藤、黙ってにやにやするのもやめてよ。気味悪い」

「え? そんなにやけてた?」

「表情崩れまくり。黒藤の長所は見た目と当代最強の称号だけなんだから、せめてキリッとしてなよ」

「……俺、そんな評判なの?」