月の宮の門番を与(あずか)るが名、月御門。
御門流(みかどりゅう)陰陽道の継承一族。当代主、月御門白桜。
月への路の守護者が名、影小路。
直系が断たれた一族、小路流(こうじりゅう)。正統後継者、影小路黒藤。
+++
華をね、護ってほしいの
その指先が白桜の頬に触れる。美しい白い影は微笑む。
御門の主。いつかこちらの姫があなたに逢いに行くでしょう。いつか、いつ、いつか……
あなたが華を語るならば、百合。あなたは、それだ。
俺がそう答えると、美しい影はうっそりと微笑んだ。
永遠の時間を超えてかもしれない。……御門の主、そのときはおよろしくね
百合の華のような甘い香りが遠ざかる。
夢はそこで醒める。