「はじめまして、桃子さん。在義さんには認めてもらっていますが、咲桜さんと結婚前提で付き合っています」
「………」
「咲桜のこと愛してるので、心配なさらずに俺にください」
「! え、どういう言い方⁉ それって一般的なの⁉」
「咲桜としか考えたことないから一般的とか知らないけど、咲桜の母君だからストレートに言わないと曲解上等だろうなあ、と」
「う」
「まあ、反対されてももらっていきますけど」
「今までの挨拶台無しだよ!」
「……結構な性格してますね、娘さんの彼氏」
遠くに見つつ、黒に言えたことかよと思いつつ、しかし白桜は口にはしなかった。墓石の向かう青年は、続ける。
「いつもの調子、戻ったな」
「う」
「一番は、咲桜に、生きていることを後悔させませんので、ご安心ください」
「―――――――」
涙、だった。
彼女は、娘とその恋人らしい青年をただ、見て、泣いていた。