『あれ?誰か部屋に入ってきた人いるの?』
『あぁー、希心ちゃん。うん、そうらしいよ』
『どんな人だろう。カーテン開けていいかな?』
僕が閉めているカーテンの奥から一人の女性。いや、同い年くらいの女の人と、男の人が話している声がする。
さっきまでいなかったからきっと戻ってきたのだろう。と言うか『カーテン開けていいかな?』ってきっと僕のことだよね?関わりたくないんだけど....
──ガラガラ
「こんにちは。えっとー.....私の名前は高橋希心です。高校1年生の16歳です。隣のベットだからよろしくね」
「あぁー....よろしく。僕は小坂燈空。高校2年生」
高校二年生と言うことは一つ下の学年なのか.....あの頃の僕は今と変わらず病んでいた時期だったな....
一年経っても変わらないんだよね。人って.....
「あのー....そのドラマ観ているんですか?」
希心さんが指を刺した先にあったのはテレビだった。そこに映っていたのは僕がさっきまで観ていたドラマだった。
「あーうん。入院してから....と言うか昨日から観てて....」
そうだ....昨日初めて観たドラマなんだった。こんなにどハマりしているからもっと昔から見ているように感じる。
「本当ですか!?私も観てるんです!!面白いですよね!これ!!」
「そうなんだ。あれ面白いもんね」
「今何話まで観ましたか?」
「六話です.....」
「六話ですか!!六話も面白かったですよね」
彼女の.....希心さんの目がキラキラと光った。本当にこのドラマが好きなんだと思う。
でも....きっと僕とは気が合わない。なんて言ったって僕はこんな人間だから.....
周りに家族だって友達だっていない。僕のことを誰も思ってくれない.....
「あの.....私燈空さんと仲良くなりたいです.....私、ずっと入院していて学校にもいけてないし友達もずっといないんです。病院にも同世代の方が少ないので.....駄目ですか?」
彼女はキラキラした目で見てくる。話によると彼女は病気を患っているのだろう。
ずっと入院していて友達がいないから僕の存在が珍しくて嬉しいのだろう。
でも、僕は人と関わりたくない。仲良くしていても....裏切られるから.....