ベットの横に置いてある車椅子に手を伸ばした。

簡単に車椅子を組み立てることができた。


車椅子に乗り移って館内を見てみる事にした。

自動販売機、コンビニ。

そのくらいしか分からなかった。でも、さっき見た時よりも色々な人がいた。


小学校低学年くらいの子達は、三人で遊んでいた。この子達もなんらかの理由で入院している。

一人は腕に包帯を巻いていたから骨折でもしたのだろう。他の二人は見た目だけでは分からない。

そんな小さい子達も入院している。たまたま同じ時期に同い年くらいの子が、同じ病院にいる。
 
それで仲良くなる。そんなコミュニケーション能力は僕にはない。


僕もあのくらいの頃は本当はこんな感じだったんだろう。

でも、あの頃の僕はちょうど優燈に追い越された時期だった。環境が違うだけで将来が変わる。

たったそれだけのことなのに将来が変わってしまう。


人は簡単に変わってしまう。子供の時の環境で全てが変わる。

良い環境で育てば良い子に育つ。逆に悪い環境で育てば悪い子に育つ。

それはお金があるかないかではない。どれだけ愛されて大事にされて育つかどうか。ただそれだけなんだ。


でも僕はお金があっても愛されないでに育った。だからこんな人間になってしまった。

俺と真逆に育った優燈は愛されて育った。だからどんどん伸びていって、不自由なく過ごしていった。

僕は恵まれない人生だった。もし、あの時もっともっと頑張って優燈に抜かされていなかったらこんなに気持ちになっていなかったと思う。でも、過去は変えられないから仕方がない。


コンビニに入ると雑誌を買った。初めてコンビニに行って、初めて雑誌というものを買った。

今まで、コンビニなどのスーパーに行くことはなかった。というか、行かことが許されなかった。



病室に戻って雑誌を広げた。この雑誌を買った理由は病院に来てから見ているドラマのことについて書かれていたから。


雑誌を読み終えたあとドラマを一話見た。こんなに面白いくて、こんなに夢中になれて、次がどんどん気になって。こんな気持ちになれたのは初めてだった