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僕、小坂燈空は人生落ちこぼれの人間だ。
『 優燈は凄いわねー!!テストで100点とってきたんですって!』
『本当か!凄いな優燈!』
小学生の頃から、父さんと母さんは双子の弟の優燈ばっかりを褒めていた。
父さんは会社の社長をしていて、僕は跡継ぎとして育てられてきた。だけど、そんな生活はずっとは続かなかった。
小学校に入学した頃は、僕は成績優秀だった。
何をしても一番で、親や先生たちに褒められて育ってきた。優燈は二番で僕が一番。
勉強、運動僕は全てを完璧にこなしてきた。
だけど、小学三年生の時から僕の人生は逆転することになった。
いつも僕の次だった優燈が僕を抜かしてきた。僕は悔しくて悔しくて仕方がなかった。
その日からいつも以上に勉強して、運動も頑張った。だけど、優燈が一番だった。
その時くらいから父さんと母さん、先生は優燈ばっかりを褒めるようになった。
頑張っても頑張っても、僕はドンドン落ちていく一方だった。いつしか跡継ぎも僕から優燈へ変わっていた。
何をしてもうまくいかなくて、父さんも母さんも僕のことを見なくなった。
自然と『あぁー、僕はもうおしまいだ』そう考えていくようになった。
高校生になってから、自分はなんのために生きているんだろうと考えるようになった。
僕は誰にも信頼されないいんだ。人生楽しくないや。
高2になって進路を決める時期になった。隣のクラスの優燈は後継ということが決定していたから、何も考える必要がなかった。
でも、僕は違う。やりたいこともなくて、どうしたいのかもわかんなかった。
でも、家を出たかった。父さん母さん、優燈の顔を見たくなかった。
もちろん両親に言ったら、反対された。『長男が家を出ていくなんて許さない』そう言われた。
後継でもないのに家にずっといさせられる。それが嫌で嫌で仕方がなかったから、雨の中家を飛び出した。