「初めまして。父の一樹(かずき)です。息子を呼んでくれてありがとう」

「いえいえ。こちらこそ燈空のお父様だとは思ってもなくて.....」


と、父さんと希心が普通に喋ってる....

こんなことになるなんて...思っても見なかった。


「それでだ燈空」

父さんと希心が話している中、矛先は僕に向かった。


「な....何?」


嫌な予感しかしない。


「お前....お見合いしろ」

「....は?....」

「お父様!?」


その場所にいた全員が声を出した。


「君に、お父様なんて言われる価値なんてない!」


希心に向かって父さんは怒鳴った。


「えっ?....」


さっきまで楽しそうに喋っていたのに何があったというのか...

いや....そんなことは今は関係ない。


「父さん、なんで関係のない希心に怒鳴るんだよ...それになんで急にお見合いだなんて....」


父さんの顔色が変わった。


「ここ一週間のお前の様子をさっき聞かせてもらった。『希心』って女の子と楽しそうにしてるってな。だから、そのお嬢さんと今話させてもらった」

父さんは僕の方を向いて歩いてきた。

「彼女は、この家にふさわしくない!そう確信した。だから燈空!お前はこんな人間と関わるな。お前は勉強だけして、父さんが選んだこの小坂家にふさわしい人間と結婚しろ」

「なんで....」


なんでかわからないけど、無性にイライラする。こんな感情なんて初めてだ。

「もう少し後のことだと思っていたが、こんな病院なんかにきてこんな人間と関わったことによって全てが狂った。だから、今すぐにでも婚約しろ。そしてお前が18になったらすぐに結婚しろ!出来損ないなんだからそれくらいして、この家を支えろよ!」

「いい加減にしろっ!」


何かが切れて僕は声を張った。父さんに抵抗することだってそうそう無かったのに、こんな病室でするだなんて思っても見なかった。


「なんだと...お前、父さんに向かったなんて口の聞き方なんだ!」

父さんは僕の胸ぐらを掴んだ。