優燈には多分、父さんが決めた婚約者がいる。
もしかしたら僕にもいるのかもしれない。
だけど僕は決められた相手と結婚をしたくない。
自分がちゃんと恋をして、結婚したい。
心から大切に思って、心から支えていこう。そう思える人と生涯を過ごしていきたい。
でも、父さんと母さんはお見合い結婚だ。
会社同士の結婚。
父さんも母さんも大会社の子供。
だから両家の会社が上手くなるように結婚させられた。
そうなると、確実に僕たちもお見合いをさせられる気がする。
いいおせっかいだ。
優燈は後継者だから結婚をしなければならない。
そのまた後世に繋いでいかないといけないから。
だけど、僕にお見合いさせて何になる。
家のためにもならない。
それに、僕はもう心に決めてるんだ。
父さんの思い通りにさせない。
時々自分に言い聞かせてる。
じゃないと父さん達の圧に負けてしまうから....
だから、何度でも何度でも僕は自分に言い聞かせる。
僕はなんとしてでも父さんみたいにはなりたくない。
子供に嫌な思いをさせるような父親にはなりたくない。
でも、そういう幼少期を過ごして来てしまったから、もしかしたら自分がその立場になった時に同じようなことをしてしまうかもしれない。
本で読んだことがある。
幼少期に虐待されている子が大人になった時に同じことを我が子にしてしまう。
その理由は、その人の親の像というのは、虐待をしてきた親だから。
いくらいい親になりたい思っていても、自分は虐待をされて育ってきてきた。そのため、自分が知っている大人の存在はその親しかいない。だから同じことを我が子にもしてしまう。
その子供に子供ができた時に、同じことを繰り返してしまう。
それをまた次世代に繋げてしまう。
そのことを虐待の連鎖という。