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希心と一緒に過ごす病院生活は思ってた以上に楽しい生活だらけだった。
初めは僕には関係のないこと。人と関わりたくないと思っていた僕だったけど、少しだけここにきてから変わったような気がする。
だけど、今日はそんなことよりももっと重要なことが起きる。
僕のところにある父さんから渡されたテキストを家の誰かが回収しにくる日。
誰が回収に来るとかは何も知らない。だけど確実に家の誰かが回収しに来るに決まっている。
もちろん僕の家族な訳がない。父さんの秘書か、僕の執事である鈴木か。
だけど、必ず誰かが僕の場所にくる。宮瀬さんとかを通して僕のところに来たら完全に怪しまれるだけ。
だから確実にくる。僕はそれを確信している。
会いたくない。今は家のことを思い出したくない。父さんのことも、優燈のことも.....
「燈空?どうかした?今日元気ないみたいだけど?」
「いや、大丈夫。なんでもない」
カーテンを今日は閉めていないため、隣にいる希心が心配して僕の方まできた。
「大丈夫って感じじゃないよ?なんかあった?」
「いや、本当に大丈夫だから」
「あ、そう」と言ってちょっと不貞腐れながらベットの中に潜ってった。
なんか悪いことをしてしまったのかもしれない。
だけど、今日は本当にどうすることもできない。
だって、家の人に僕が希心と話しているところでも見られたら、確実にどこか飛ばされるのは希心の方。それに関係を切らさせる。
僕のせいで、希心の人生を滅茶苦茶にしてしまうかもしれない。
そんなことはあってはならない。
それに、父さんの耳に入ったとしたらどうなるかわからない。
父さんは僕と優燈を自分の思い通りにさせたがる。
そうした場合、もし僕が女性と一緒にいるところを見られたらどうなる。
確実に適切な対処をされる。
女性と一緒にいることが許されなかった。
と言いつつも僕は人と関わってこなかったから僕には無縁だ思っていた。