消灯時間後、僕はベットの中でずっと頭をフル回転させながら考えた。
なぜ、彼女はこんなに積極的に僕に話しかけてきてくれたのだろう。
なぜ、彼女はこんなに僕に良くしてくれるのだろうか。
それ以前に、なぜ彼女は僕と初めて会ったときに自分と似ていると思ったのだろうか。
というか、彼女は心臓病を生まれつき患っていた。
心臓病を患っていながらもあんなに元気が良くて、人生を楽しもうとしている。
暗かった時の彼女は一体どんな気持ちで毎日を過ごしていたのだろうか。
今の僕と同じようにずっと人生を諦めていたのだろうか。
宮瀬さんに息抜きとしてあの屋上での景色を教えてもらったと言っていた。
確かに、僕も今日屋上に行ってあの景色を見たときになんだか少し心が洗われた気持ちになった。
だけど、だからと言って僕に良くしてくれる理由はなんだろうか。
最後まで教えてくれなかったけど、僕が昔の彼女に似ていると言っていた。
だから僕みたいな人間を助けようとしてくれいるのだろうか。
いやまさか、彼女みたいな明るくてフレンドリーな人が僕みたいな人を助けようなんて思うはずがない。
って、昨日の僕だったら思っていたと思う。
だけど....今日、あの場所で彼女と話してみて、ちょっとだけ彼女のことがわかったような気がした。
だけど真実はわからない。
今まで人と関わらないようにしていたから。
人の心の中が読めない。
まずまず、ここにいても人と関わりたくないと思っていたのに、なぜ僕はこんなにも彼女に振り回されているのだろうか。
自虐ばかりしていて、何も考えてこなかった自分がなぜこれほどまで他人のことを考えているのだろうか。
僕はここにきてから何かが変だ。
自分が自分じゃないみたい。
また、明日になったら彼女と関わるのだろうか。
あんなにも彼女の心の弱みを聞いてしまった僕は、彼女にどんな態度をすれば良いのだろうか
でも、そんなに彼女のこと考えてはならない。
だって、父さんからの宿題は山ほど出ていてそれをまずはやり終えなければならない。
そして.....そして僕は彼女とあまり関わりすぎない方がいい。
僕は今骨折をしてここで入院をしている。
彼女は病気の治療の為にここにいる。
明らかに僕の方が先に退院するはずだ。
彼女と関わりすぎてしまうと、僕が退院するときに彼女に寂しさを与えてしまうかもしれない。
僕なんかに思ってくれるかわからないけど.....
だから、深く関わりすぎない方がいい。
それに僕はつまらない人間だから。
僕と一緒にいていいことなんてないはずだ。
だから、ちょうどいい距離感の関係性を保つしかない。
僕が彼女を避けてしまったら、きっと彼女は悲しむ。
わからないけど....
でも、約束してしまったからには僕がここにいる間は友達として接しなければならない。
程よい距離感で......