本当に大切な友達.....?昨日初めて会ったばかりなのに.....?
会ったばかりの人を本当に大切な友達だなんていうの?というか友達って.....
今まで僕は友達ですらできたことないのに、初めてそう言われたことに動揺が隠せない。
「そんなに驚く?」
「うん」
「ふふっ」と笑いながら彼女は街の方を見た。
「実はね、昨日燈空と初めて会った時に思ったんだ」
「何が?」
疑問に思った僕は初めて人に問いかけた。
明るくて騒がしい彼女だけど、どこか寂しげな表情で今にでも消えてしまいそうな感じがする。
だけど、ニコッとしながらこっちを振り返った。
「私と同じだって」
「えっ!?」
僕と同じ?何を言っているのかさっぱりわからない。
彼女が僕と同じだなんてあり得ないし、僕みたいに暗くない。
果たして、どこが僕と同じだなんて言えるの....
「実はね、私生まれつき心臓が悪いんだ。だからずっと入院してて、家族とはほとんど絶縁状態。入院費だけは払ってくれているけどお見舞いには来てくれないの」
「......」
「だから、燈空が来たときに『この人も私と同じな気がする』って思ったんだ。家族と上手くいってなくて昔の私みたいだって」
「昔の私?」
夕日がどんどん沈んでいき、外が暗くなっていく。
だんだんと彼女の顔が暗くなってきて、表情があまり見えない。
でも、なんとなくわかる。彼女は本当は弱いんだと思う。
僕は昨日からずっと強いと思っていたけど、毎日辛かったんだと思う。
僕みたいに、というか僕以上に辛かったんだと思う。
病気と戦いながら、家族には捨てられて、辛かったんだと思う。
「それは内緒。またいつか話せる時が来たら教えるね」
「あぁ.....」
言ってくれなかったけど、人と接したことがなくて、人に興味がない僕にでもすぐにわかった。
『彼女には裏がある』僕にはなぜかそう確信がついた。
冷たいけど、少し暖かさを感じる風が僕たちを包み込むかのように吹いてくる。
「寒いからそろそろ戻るか」
「うん.....」
夕日が沈む途中だったオレンジ色の空は、いつの間にか真っ黒な空に黄色い月と星が輝いていた。
僕は彼女に押されながら病室へ戻った。