「なんでそんなに驚いているの?」

「いや、びっくりして。こんなにも長時間も待っていてくれるなんて思ってもみなかったから」

「でも、約束したんでから待っているに決まってるじゃん!さっ!!早くいこっ!」

「えっ!?どこに!?」


そう言えばさっきから連れて行きたい場所があると言っていたけど、どこのことを言っていたのだろうか。

それに僕のこの足じゃあどこにも行けないのに。


「いいから、私について来て!あっ!そうか、燈空足を怪我してたのか。ちょっと待ってて」


彼女はそれだけ言うと僕のベットの横にある車椅子を組み立て始めた。


「燈空!これに乗れる?」


車椅子を僕のベットの真横に置いて布団をどかされた。


とりあえず骨折をしている方の足を配慮しながらベットから降りた。

そして、彼女が抑えている車椅子に座った。


「よしっ!じゃあ出発!!」


普通よりも少し大きな声で叫んだ後、彼女は勢いよく僕の座っている車椅子を押した。


だけど二人とも腕に点滴をつけているため思い通りに進まない。


「燈空。私のこの点滴も持っててくれない?」


と言いながら彼女の腕と繋がっている点滴を渡された。


彼女は迷いものくどんどんと進んで行きエレベーターに乗った。

そろそろどこに行くかくらい教えてくれてもいいんだけど、絶対に教えてくれなさそうだから黙っておくことにした。


エレベーターを降りて、またどんどん歩いていって、別のエレベーターに乗った。

さっきのところでは15階までしかなかったのに、ここでは16階まで書かれている。


彼女は16階のボタンを押した。どんどんエレベーターは上に上がっていく一方。


 [チーン]と音が鳴りエレベーターの扉が開いた。