俺の言葉を受け入れてほしいとは微塵も思っていないけれど、せめて彼がこれから抱えることになる傷が、少しでも救いのあるものになればいい。

 俺のように、後悔しか残らない傷だけはどうか避けてほしい。

「……まあ俺も、偉そうには言えないけど」

 ひとり口のなかでつぶやいて、ふっと誰に向けるわけでもない自嘲を浮かべた。