再び永が現れたのは、その翌週のこと。私も退院し、喜一も彼自身の意識で生活をしていたが、翌週の休日の朝、起こされてしまう。

「夏菜子、夏菜子」
「ん……? 永っ?」

 ふにゃふにゃ声で応答したが、すぐに頭が冴え渡った。血の気が引いた、という感覚に近い。
 離れるように上体を起こすと、おはよ、と返してきた。

「お、おはよう……。喜一はやっぱり眠ったままなの?」
「うん、寝てるよ。この人、休日になると眠りが深くなるんだ。だから俺も出てきやすいのかな」

 ふふ、と笑う彼を監視しながら、ベッドから出て、カーテンを開ける。眩しい日光が眼光を突き刺し、思わず目を細めた。セミの鳴き声がよく聞こえる。暑そうだ、今日も。

 彼に向き直り、頭を下げた。

「ごめんなさい」
「ん? いきなりなに?」
「私が、あの日……あなたを拒絶したから、復讐しに来たんでしょ? いつか喜一を乗っ取るつもりでいるんじゃないの? お願いします、やめてください」
「ちょ、ちょっと待て」

 何度も戻ってきた永。私はついに彼を拒絶した。それがあの日のこと。