高い身長や切れ長の瞳のせいなのか、クールだとか近寄り難いだとか、そういうことは昔から思われやすかった。だが、周りも話せばそうでもないとわかってくれる。


 いつもは、そうだった。


 その年の春。楽しみにしていた高校生活はコロナによって延期を余儀なくされた。


 毎日テレビをつけてもコロナに関するニュースばかり。学校から届いた大量の課題とスマホを触ることしかやることがない。


 つまらない。早く学校に行きたい。毎日文句ばかり言っていた。


 そんな生活から解放され、ようやく休校が明ける。


 規模を縮小して行われた入学式の日以来、久しぶりの高校に嬉々として足を踏み入れた。


 しかし、教室に入ってしばらくするうちに悟ってしまい、愕然とした。


 入学式の日、少ない時間の中で声を掛け合ったり、中学からの友だちを通して、既にSNSでグループができていたらしい。


 毎日のようにトーク画面での会話や電話が行われていたようで、個人的に仲良くなっている人も多かった。


 既にできあがりつつある人間関係。


 自分のことを人付き合い下手だと思ったこともなかったが、入り込みずらい空気というものがあった。


 そのうえ私の印象では周りも話しかけずらかったのだろう。そこにいるという気まずさを回避したくて、スマホばかり見ていたのも悪かったかもしれない。


 話しかけようと思ったことはあった。でもなんて話しかければよかった?


「一緒にご飯食べない?」とか「ちょっと放課後どこか寄らない?」とかコロナ禍でそんなことは言いずらい。


 もちろん行事なんかない。授業中によくあるペアでの話し合いや班活動なんかも何もなかった。


 あっという間にできていくグループ。それを眺めながら、時は過ぎて。


 私はいつの間にかひとりぼっちだった。