ここは冥界の道。扉へと続く一本道。



天国、煉獄、あるいは地獄の扉へ一直線。一緒に死んだ少年少女はずっとこの道を歩いている。



間の悪い二人。運の悪い二人。大事な話をしていたのはちょうど煉獄の扉の近くを通り過ぎた時。煉獄の扉から漏れ出る音に、何度も何度も邪魔された。



「私ね、普通の女の子になりたかった」



煉獄を通り過ぎれば、行きつく先は天国か地獄。大多数の平凡な人間とは違う道。



少年の被ったフードの隙間から見え隠れする首筋には縄のような赤い痕。少女の首には成長途中の男の手の痕。



「でもね、私は人殺しになっちゃった」

「違うよ。君の手は汚くない。僕は自分の手で人を殺したんだ」

「違うよ、あなたは殺してない」



きっと私は地獄行き。きっと僕は地獄行き。そう言えば、隣のこの子も地獄に行くことになる。だから地獄と言う言葉は使わない。



「私は自殺したの」

「違うよ、君は殺された。自殺したのは僕」

「あなたの首を絞めたのは私の……」



 その時、近くで大きな爆発音がしてまたしても少女の声を遮った。