「いやあ、大変だねえ」
会社との接続を切ろうとした時、画面越しに上司が俺に声をかけた。
「全然仕事にならんだろ、家で子どもの面倒見ながらなんて。しかも奥さんの看病まで」
無意識に首を縦に振りかけたが、ピクリと止めた。一瞬胸の内で、上司の言葉にどこかモヤッとするものを感じずにはいられなかったからだ。
「まあせいぜい君もうつされないように気を付けるんだな」
労いの言葉だと思いたかった。上司からの激励の言葉と捉えたかった。だけどその言葉には、妙な違和感しかなかった。