俺がこちらで一悶着やっている間にも、会議は何事もなかったかのように進んでいた。俺が戻ったことに触れる人はいなかった。まるで、俺の存在なんてはじめからなかったように。ヘッドホンに耳を傾けても、会議の内容はほとんどわからなかった。誰かに聞ける雰囲気でもない。まるで画面からはじき出されたようだった。いっそのこと会社との接続を断ち切ってしまいたかった。もちろんそんなことする勇気はない。そんなことしてしまったら、もうこの画面の向こうに戻れないことはわかっていた。だから俺はこの時間を、ただ無意味に、徒に過ごした。