どろっとした黒い何かが俺の心をつつんだが、それが何か分からなかった。彼女の顔にも黒い(もや)がかかっている。この雰囲気をどうにかする為には、やっぱり夜空と話してみた方がいいだろう。どんな顔をしたらいい、なんて分からないが、明るく話してみよう。

「今度、二人でショッピング行こうぜ。服ほしいって言ってただろ?」

 と聞くと、頬を赤らめて嬉しそうに、

「うん。」
と言った。
 やっぱり、彼女といるより夜空といる方がずっと…楽しかった。

「それにしても久しぶりだな。」
「その話、さっきもしたわよ?」
「そうだっけ、まぁ本当にそうなんだし、遠回りしね?」
「そうね。」
「そういえば、〇〇〇〇〇〇っていう曲、聞いたか?すげぇぞ。」
「本当?………聞いてないわ。」

 他愛もない話をしていると、少しだけ、もう少しだけ、と話してしまう。彼女といるよりずっと、楽しい。夜空といる、この時間が、話し笑える時間が。
 それに、夜空が楽しそうに笑うのを、嬉しそうにするのを見ると、心の中の黒い何かが、すぅーっと消えてなくなる。
 夜空が、好きなんだ。彼女よりもずっと、ずっと……