食事が終わっても会話は続いた。
音楽活動、部活、勉強…今まであったこと全て言った。
「夜空…今はもう大丈夫なのね?」
「明日香も朝日もたくさん動いてくれたから。」
「そう、辛い時期に一緒に居られなくてごめんね。」
優しく抱きしめ頭を撫でる。
ふと夜空の表情が緩んだ。
「お母さん…私はもう大丈夫だから。」
「でも、私怖いのよ。またあの時みたいに、私のいない所で夜空や真昼が傷ついてしまうことが。」
李月は誰よりも心配性で、他人想いの女性だ。
「ありがとう、お母さん。でも今は朝日もいるわ。守ってくれるらしいし。」
「それもそうね。」
2人の世界を作っている中、俺は真昼と話していた。
「入んなくていいのか?」
「うん。お母さんはお姉ちゃんが心配で心配で仕方ないの。今くらい2人にさせてあげたいの。」
「そうか…」
少しばかり俯くと、悲しそう否悔しそうな声
を出した。
「私、ホントのお父さんに凄い懐いてたの。大好きだった。いつも頭を撫でてくれて、沢山褒めてくれたから。」
「……」
「でも、そんなの嘘だった。お姉ちゃんが殴られてるの見て、一気に目が覚めた。そして絶望したの、『こんな人信じてたんだ』ってさ。だから皆を信じられない。怖くてさ。」
重い空気が漂う。
そりゃ絶望するだろう。
俺だってそうだった。
両親が離婚することになって、理由は不倫。
どんどん離れ離れになってしまうのが怖かった。
絶望した。
あぁ、そういえば最後にあんなこと言われたっけ。
『母さん…』
『あんたなんてもう息子じゃない。母さんなんて呼ばないで。』
だったら、初めから産むなよ、と何度思ったか。