久しぶりに夢を見た。

 それは本当にあったこと、そのまんまだった。

 中学1年が終わる頃、両親がオフだったのを機にレストランに行った。

 その店で彼女はカレーを頼んでいた。
 
 なぜこれをここまで覚えているかというと、それだけ衝撃的だったということだ。

 俺も夜空と同じカレーを頼んだ。

 その店の看板メニューなのだ。

 特に夜空が気にする食材もなく、夜空は美味しそうに食べていた。

 その時は皆何も気にすることなく過ごしていた。

 楽しかったよ、普通にさ。

 でも、

『うっ…』
『どうした?夜空ちゃん?』

 彼女の体が震えだし、スプーンを落とした。

 カランと金属音と共に、夜空は吐いた。

『ゲボッ…ゲホッゲホッ!ヒュッ…!』

 まあ、あたりは騒然とした。

 その店はまだオープンしたばかりで、キャンペーン中により人が多かった。

 夜空は食べた物、胃酸まで吐き出すと呼吸がままならなくなり、椅子から倒れ気を失った。

『陽翔くん!救急車!早く!』
『う、うん!2人とも、それはこれ以上食べないでね!?』

 義母は夜空の様子を見ている。

 父は急いで119に電話していた。

 俺らは何も出来なくて、ただ痙攣を起こす彼女を心配するだけだった。

 結論的にはアレルギーによるアナフィラキシーショックを起こしていた。

 そう、あのカレーには隠し味にチーズが入っていたのにも関わらずメニューに表記していたなかったのだ。

 夜空は九死に一生を得たが、もしもう少し遅かったら、と思うと今でもゾッとする。

 それから1週間は目を覚まさなかった。