真昼がいるから中々できてないが、今くらいいいだろう……

「……」
「夜空、明日から楽しみだな。」
「そうね。私もついに『暁』ね。なんだか実感ないわ。」

 明日、婚姻届を出しに行く。

 結婚式の準備もして、少しすればオーケストラの練習も始まる。

 新生活始まって早々大忙しになりそうだ。

「……」
「俺も……びっくりだわ。まさか結婚相手がこんなに近い人だなんて思ってもみなかった。」
「分かるわ。まさか弟なんて……誰が思ったかしら。」

 笑顔を零す。

 再びキスすると、強く抱き締めてきた。

「……」
「大好き。私を選んでくれてありがとう。」
「俺も、大好きだ。夜空……」

 25になっても彼女への愛は冷めることを知らないな。

「……朝日?」
「ん?って!!先輩……」
「ここさ、一応俺の家なんだわ。イチャイチャすんのはいいけど、程々にな?」

 今思えばずっと見られていた気がしなくもない……

 弱々しく、はい、と答えると先輩は真昼へ直行した。

「……ふふふふ!」
「まさか……いるの知ってただろ?」
「だって、入ってきてすぐ目が合ったもの。ふふふ!」

 呆れた。

 この頃わかってきた彼女の本性。

 夜空は大胆で余裕がある。

 そして、確信犯だ。

「あのなぁ……場所を考えて」
「……だめ?」

 余裕が出てきたから、俺を弄ぶようになった。

(可愛いな、クソ……」
「声に出てるわよ、ふふふ!」

 夜空の手のひらの上だ。

「どうせ、明日でここにも来なくなるわ。強烈な印象残していきましょう。」
「相変わらず、いい性格してるよな。」
「ありがとう!」

 次の朝、朝風呂してる俺を見て絶句してる一星……を見てる夜空は満足気だった。