それから長いような短いような1年を過ごした。

 夜空は教授の元にいながら、生徒の育成に公演。

 真昼は自分の店を開くためにコツコツやってるそう。

 6月の後半、あちこちから聞こえる日本語。

「ただいまぁ!日本!」

 俺は日本の空港にいる。

 自然と気が緩む。

 日本はなんだか安心する。

 母国なだけあるな。

「ふふふ!おかえりなさい、朝日。」
「夜空…!ただいま!」

 空港には先日帰っていた夜空と。

「遅い!結構待ったんだけど!」

 キレ気味な真昼。

 2人共元気そうだ。

 両親は絶賛公演会中らしく、来れないことをすごく悔やんでいた。

 仕事だし仕方ないけど。

「というか普通に気になってたんだけどさ、2人って仕事どーするの?」

 真昼の素朴な疑問だった。

 これは前々から夜空と話していた。

「父さんのところのオーケストラの選抜を受けようと思ってる。」
「最近人数不足みたいで定期的に選抜試験をやってるの。」

 そか、と一言答えた。

 次の選抜は7月1日だ。

 なんと3日後だった。

 家が決まるまでは真昼のところに居候させてもらう。

「後でなんか奢ってよねぇ!」
「家族で呑みに行くのありだな。」
「その時は朝日が全持ちで。」
「大賛成!!」

 はぁ、とため息が漏れる。

 アラサーでも双子には勝てん。

 泣く泣くそれを了承するしか無かった。