何事もなく寝ることになったが、彼女が気になりすぎて寝付けそうにない。

 仰向け、右を向いて、うつ伏せになって…ダメだ。

 左を向いたとき、夜空の背中を見た。

 出会ってすぐは、ずっと彼女の背を追っていた。

 すらっと上背があって、才色兼備、まさに完全無欠とは彼女のことなのだろうと思っていた。

 でも、一緒に過ごすたびそうじゃないことが分かった。

 含めて「黄昏夜空」なのだ。


「夜空…」
「…っ///!!!」
「え…」

 ぼそっと呟いただけなのに、反応を示した。

 ゆっくりとこっちを向いた。

「起きてたのか。」
「なかなか寝付けなくて…」

 モゾモゾと動いては、腕に収まる。

「朝日と出会って毎日楽しくて、この2日もそう。とっても幸せだった。」
「なんだよ、遺言みたいじゃないか。」
「ふふふ、そうね。でも、本当よ。楽しかったの。」

 ニコっと笑う彼女に、安心を覚えた。

「ねぇ…イギリスに行っても、私のこと忘れないでいてくれる?」
「あたりまえだろ。夜空は俺の最初で最後の女だよ。」
「重いわ、全く…」

 でも、悪い気はしないわ、とニヤッと笑った。

 互いの体温と鼓動が睡魔を誘う。

「ふふ、眠くなってきたわ…」
「だな。おやすみ、夜空…」
「おやすみなさい…朝日…」

 その晩俺らは、抱き合ったまま眠りについた。

 朝、先に起きていた夜空が腕の中で赤面していた。

 午前中部屋を満喫すると、正午俺らは沖縄を後にした。