最近、過去の夢を見ることが多い。

 今日も同じだった。

『兄ちゃん、まだかな?』

 これは…まさか…

『父ちゃん、どうしたの?そんなにあ』
『急いでるんだ!』
『えっ…?』

 あぁやっぱりそうだ。

 これは兄貴が死んだときの記憶だ。

 父さんの青い顔、この緊迫感のある車の中、着いたのは大きな病院だった。

 行ったものの遺体が慄然とするような状態だったから、俺は会うことができなかった。 

 あの時も葬式の時も、俺泣けなかったんだよな…

 なんでだろうってずっと考えてたけど、答えなんて出なくて、結局それすらやめたっけ。

 でも、チェロを見るとすぐそば兄貴がいる気がして、それがすごく寂しくて、チェロを辞めた。

 それだけははっきり覚えている。

 兄貴は今、どう思ってるかな…

 また、チェロを始めて、兄貴の夢を叶えようとしてる。

 今彼に会ったらなんて言うかな。

『朝日…お前に何ができる?』

 えっ…

『簡単に手放したくせに、僕を舐めてるのか?』

 兄貴はそんなこと…言わない…

『朝日ごときがプロなんて不可能だ。』

『またすぐに辞めてるのだろう?』

 やめて…やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて!