いなくなると、力が抜けたようだ。

 壁に寄りかかって座り込んだ。

 良かった、俺自身どうなるのか分からず気を張っていたのかもしれない。

 暑い、熱い、何が何だか分からなくなっている。

 ただ、今の歓喜に身体が覆われているのは分かっている。

「夜空…」
「…?朝日、大丈夫?」
「夜空…優勝おめでとう、今日はいい日だな…」
「えぇ!さ、帰りましょ。」
「そう、だな…」

 立ち上がるとふらっと身体が斜めになった。

 ぼやけて前も見えない。

「朝日!」

 それを最後に俺は意識を手放した。

 次、目を覚ましたのは次の日の朝だった。

 身体が重だるい、全身熱かったのだ。

 ついでに頭も痛く、不調を物語った。

 ベッドの上だった。

「よ、夜空…」
「?あ、朝日!良かった…貴方、熱中症で倒れたのよ?覚えてる?」

 熱中症…そういえばなんも飲んでなかったな。

 人は動かなくても熱中症になるのか、と朧気ながらも分かった。

「目の前で倒れたからほんとにびっくりして。記憶はないと思うけれど、救急車で運ばれたのよ。即日帰ってきたけれど。」

 初救急車が熱中症か。

 曰く全然意識がなかったようで、一時はかなりやばかったらしいが、処置を施されるとある程度良くなったらしい。

「だっさ……彼女のめでたい日に倒れるなんて…」
「…!ダサくなんてないわ。むしろそう思ってくれて嬉しいわ。私は、どんな朝日も大好きよ。」

 首をこてんっと傾げる。

 余計に熱が顔を覆う感覚があった。