無事、家の外に出ると、明るく輝く満月が見えた。だからなのか月明かりのおかげで、こんな時間にもかかわらず外の方が明るかった。
  夜に外に出たことはあんまりなかったから、とても新鮮だ。それに、昼とは雰囲気も違いとても同じ場所だとは思えなかった。
 なんだか神聖な場所にいるようなそんな気がした。
 でも、幼い頃何度通ったか分からないくらい遊びに行った場所だ。忘れたり、間違ったりするはずは無い。
 夜道を1人。私は黙々と歩き続けた。
 そしたらあっという間に着いた。
 やはり身体はちゃんと覚えてたみたいだ。
 この獣道も夜に通るのは初めてだ。ほんのちょっとだけドキドキする。
 でもそんなの入る前だけで、入ってしまえば何ともなかった。
 獣道を抜けると、神秘的な空間が広がっていた。海と空の境目が分からない。でも、遠くの空には星も煌めいていて、海までもきらきらと輝いていた。昼は真っ白だった砂浜も今は、月の光に照らされて、淡く光ってるようだった。
 私はしばらく魅入っていたが、ずっとそうはしてられないと思い出して、秘密基地の前に立った。
 入口になっている木の葉達に手をかけ、そーっとずらす。
 全部は見えないけど、多分誰もいない。
「ふぅーっ」
 今度こそはもう普通に入った。
 よし、探すぞ。
 ってそう思って次の瞬間見つけたのは、
「あっ、」
 美少年と犬だった……。
 こんな夜中にまでここにいるのか……。
 でも、両者とも寝てるみたいだ。
 このまま、静かに探せば問題ないだろう。
 そう思って、私は探し続けた。
 木の椅子やテーブルの所や、宝箱など隠せそうなところは全て探した。1人と1匹の周りを除いて……。
 色々と懐かしいものはあったけど、目的のものは何も無かった。
「はぁ、どうしよう。なんで無いの?」
 木の椅子に座り、1人絶望してたら私はいつの間にか寝ていたらしい。