ギィィ、ギィ。
 マットレスが軋んでいる。
 家に着くなり私はベッドにもぐりこんだ。
 なんもしたくなかったから。
 泣いたのが悔しかった。自分ががんばってく作った壁を壊された気分。
 それからずっとぼーっとしていて、どれくらい時間が経っただろう。もう陽が傾き出していた。
 不意に私が好きなアニメのAメロが流れてきた。
「電話だ……誰だろ」
 動きたくない気持ちを押し殺し、鞄に手をつっこむ。見つけたスマホを覗くと優斗(ゆうと)の文字。私は通話ボタンをタップした。
「……」
『もしもし……?麗々愛?大丈夫?出てくれて良かった。今日の朝からずっと音信不通で心配した。なんかあったの?』見てみると、確かに沢山のメッセージに不在着信。メッセージは私を心配するものばっかりだった。そういえばさっきまでもなにか音が鳴ってた気がする。
 いつもと比べてあまりにも返事がなかったから、心配してくれたのだろう。
「大丈夫だよ。返事できてなくてごめんね、心配してくれてありがとう」
 私が不安定な時、いつも支えてくれるのは優斗だ。私のことをぎゅっと抱き締めてただただそばに居てくれる。私にとってはそれがとってもありがたい。愛されてるってそう思えるから。大丈夫って思える。
『麗々愛、大好きだよ。ずっと……何かあったら言ってね。話、聞くから』
 ほら、やっぱり優しい。
 だけどこれは言えない。
 死んだ幼なじみへの初恋が忘れられないなんて……
「うん……」