救急車に運ばれていった彼は、あれから目を覚ますことはなかった。

話によると、事故か自殺か分からないそうだ。

私は高校の制服を身にまとい、廊下を歩く。

今の私の目はきっと、死んだ魚の目。



「ねえ、あの子だよ。亡くなった先生と付き合っていた、っていう……」

「付き合ってた噂、本当なの?」

「先生が車に跳ねられた時、一緒に居たんだって」



そんな他の生徒の声なんて私の心には届かない。

私の心は空っぽで、何も感じない。


私は無意識に屋上へ向かう。

屋上から見える空はあの日と同じ、憎いくらい明るい空だった。

私は屋上のフェンスを掴み、ひたすら涙をこぼした。



「先生——……っ」



Fin,