「お願いだから……っ」



助けて……。


そう祈っていると、彼の目が微かに開いた。



「あ、や……」



ゆっくりと動かされた唇から、絞り出すように出てきたのは私の名前。

なんで、今なの……。

なんで、今、私の名前なんか呼ぶの……っ。

今まで呼んでくれなかったじゃん……っ。



「ごめ、ん、な……」

「なにも喋らなくていいから! すぐ救急車来てくれるから!」

「……だいすき、だよ」



それが最後の言葉だった。

彼の最後の言葉だった。