「助け、助けて!」

薄暗い闇の中、狭い空間で必死に助けを求める女性の姿がある。
衣服を脱がされて、体中が刀傷によって血まみれになっていた。
そんな彼女は足を縛られて白いバスタブの中で暴れている。

「あぁ、嫌だ!いや、いやいやいやいや!」

女性が手を伸ばす。
その手を別の手が掴む。
ゴツゴツした皮手袋のようなものに包まれている手は暴れる女性を湯舟に沈める。
真っ赤に染まっている湯舟の中で女性は抗う。

「ごぼごぼぼ!」

呼吸できず、頭を抑え込まれて沈められた女性は抗えない。
しばらくして、首元を掴まれて湯舟から引っ張り上げられた。

「ヒューヒュー」

溺死寸前まで沈められていた事で喋る気力も失っており、小さな呼吸音が暗い室内に響く。

「かぁ……さ……」

ずるずると暗い室内をひきずられて、女性はある場所に運ばれる。
ぐったりして動けない女性の傍に誰かがやってきた。

「貴方で〇人目、もうそろそろなんですよ」

声が弾んでいる事から喜んでいる。
控えている存在は何も言わない。
嬉しいのか、その場でくるくると回りながら少女は机の上に置かれているナイフを手に取る。

「えいや」

可愛らしい声でナイフを振るう。
女性の喉元を斬った事でタイル張りの床に赤い血が広がっていく。
本来なら床一面に広がる血だが、驚いた事に一カ所へ吸い込まれるようにして消えた。
正面からナイフを振るった事で体中に浴びた返り血をみながら少女は微笑む。

「もう少し、もう少しです」

愉悦の表情を浮かべながら返り血を手で広げていきながら少女は微笑む。

「もう少しで貴方に会えます」

全身を真っ赤に染めながら彼女は微笑む。
視線の先には一枚の写真があった。