「あれ、雲川、その手にある封筒どうしたの?」

特別教室へ戻ると瀬戸さんが僕の持っている封筒に気付く。

「あぁ、これ、新城の」
「貸して」

最後まで言い切る前に封筒をひったくられてしまう。
封筒から中身を取り出して眺める事、数分。

「行くわ」
「え?」
「アタシも行くから」

否定は許さない目力を向けられて下がる。

「ごめん、まだ手紙の内容を見てなくて」
「はい」

彼女から手紙を返されて中身を拝見する。
手紙の内容は簡単に言えば、霊能者、祓い屋、そういう関係の人達に集まってもらいたいというものだった。

「これ、怪異絡みだよね?」
「どうだろう?工藤先生が言うには参加するだけってことだし、怪異絡みというよりは祓い屋関係の人達が集まるだけって」
「それでも、行くから……」
「いや、僕だけで」

伸びてきた手が胸倉を捕まれる。

「行、く、か、ら!」
「は、はいぃ」

新城と別のベクトルで恐怖を感じて僕は首を縦に振る。
そうしなければ危ないと本能的に感じ取った。

「夏休みが楽しみ!」
「……そう、だね、うん」

厄介ごとが舞い込んできたような気がして気が滅入る。
何事もなければいいなと思いながら手紙へ視線を向けた。
新城に送られてきた手紙。
本当に何もなければいいんだけど。