新城が来てくれたのは三衣ちゃんのお陰、彼女と僕が縁を築いていたから。
そんな彼女を守れていたら。
確かにたらればを話しても意味はない。
けれど、
だとしても、
僕は、
あぁ、やはり思ってしまう。

「強くなりたい」

涙を堪えながら漏らした言葉に新城は何も言わない。
近付くと僕の背中を叩いた。

「だったら歩みを止めるな。その気持ちを忘れる事なく進め」
「ありがとう、新城」
「…………感謝するのは俺の方だよ」

プイッと視線を向けて新城は歩いていく。
――その背中に少しでも追い付きたい。
僕は立ち止まっている事をやめて歩き出す。