「あら、意外と早かったですね」
ドアの向こう、そこは室内等がなく赤黒い巨大な樹が一つ。
そして、志我一衣がいた。
「キミが、黒幕!?」
「黒幕という言葉があっているかわかりませんが、そうですね。この屋敷に訪れた人達を攫っている者といえば、私ですね」
誤魔化すこともせずに肯定している。
嘘ではないんだ。
「アンタ、姉なんでしょ!?二衣はどこなの!?」
「姉ではありません。単に三つ子で最初だったから姉扱いを受けているだけです。後、二衣ならあそこですよ」
一衣が指さす方向、タイル張りの床に眠っている二衣さんがいる。
「二衣!」
「動くな!」
駆け寄ろうとした瀬戸さんを新城が止める。
「あら残念」
「お前、コイツが駆け寄ったらそこの樹木の養分にするつもりだったな?」
いつも以上に低い新城の声。
その声に怒りの感情が混ざっている。
「流石、新城凍真様ですね。私の未熟な術も見破り、用意した駒も撃退して……その上、これについても知っているなんて」
大事そうに樹木へ触れる一衣さん。
僕は目の前の樹木を見る。
明らかに普通の樹木じゃない。
赤黒く、不気味に胎動をしている。
木の実の類はなく、葉もない。
なのに、油断できないナニかを感じた。
「お前、こんなものどこから持ち込んだ?」
「知りませんね。私が生まれる前に元からここにあったようですよ」
ドアの向こう、そこは室内等がなく赤黒い巨大な樹が一つ。
そして、志我一衣がいた。
「キミが、黒幕!?」
「黒幕という言葉があっているかわかりませんが、そうですね。この屋敷に訪れた人達を攫っている者といえば、私ですね」
誤魔化すこともせずに肯定している。
嘘ではないんだ。
「アンタ、姉なんでしょ!?二衣はどこなの!?」
「姉ではありません。単に三つ子で最初だったから姉扱いを受けているだけです。後、二衣ならあそこですよ」
一衣が指さす方向、タイル張りの床に眠っている二衣さんがいる。
「二衣!」
「動くな!」
駆け寄ろうとした瀬戸さんを新城が止める。
「あら残念」
「お前、コイツが駆け寄ったらそこの樹木の養分にするつもりだったな?」
いつも以上に低い新城の声。
その声に怒りの感情が混ざっている。
「流石、新城凍真様ですね。私の未熟な術も見破り、用意した駒も撃退して……その上、これについても知っているなんて」
大事そうに樹木へ触れる一衣さん。
僕は目の前の樹木を見る。
明らかに普通の樹木じゃない。
赤黒く、不気味に胎動をしている。
木の実の類はなく、葉もない。
なのに、油断できないナニかを感じた。
「お前、こんなものどこから持ち込んだ?」
「知りませんね。私が生まれる前に元からここにあったようですよ」