「任されよ。拙者はこの先で役に立ちそうにない……この相手は努めよう」

頷いた新城は歩いていく。
八島さんの横を通り過ぎる
瞬間、巨大な拳が新城を握りつぶそうと迫った。
僕が十手で迫る拳を受け止める。

「グッ!」

全身に襲い掛かる衝撃で後ろへ下がりながらも新城を守るために踏みとどまった。

「どこへ行かれるのですか?主の所へ貴方をいかせるような真似は」

八島さんの顔に柳生さんが繰り出した木刀の突きが刺さった。
転倒する八島さん。
僕達を守るように木刀を構える柳生さん。

「先を急がれよ」
「任せた」
「お願いします!」

柳生さんに感謝を伝えて僕達は奥の部屋に向かう。

「其方も行かれよ」
「え、でも」

柳生さんの言葉に瀬戸さんはたたらを踏む。

「ここにいても其方のやることはない。お二人と共にいって見届けるのだ」
「み、見届けるって」
「見届ける覚悟がないのならそのまま後ろへ下がっていけばいい。そうすれば、普通の生活に戻れるだろう」
「普通……そんなの!」

彼女は悩んでいたのが嘘みたいに僕達の方へ駆け寄ってくる。

「柳生さん、頼んだ」
「心得た」

新城の言葉に柳生さんは頷いた。