「ったく、なんて場所だ」

新城凍真がやってきた。
悪態をつきながら緑を超えて入ってくる。
いつもと変わらぬ彼の姿に今まで感じていた不安が消えていく。

「新城、どうして」
「あ?どうしても何も、お前がこんなロング文を送ってくるからだろう」

腰に手を当てながら呆れた態度で新城が僕へ携帯をみせる。

「……雲川、これはやりすぎ」

隣から端末を覗き込んだ瀬戸さんも呆れた様子をみせていた。
そんなに長かっただろうか?
情報を正確に伝えるべく色々と打ち込んだ事がいけなかったのか。

「まぁ、長いが的確だったおかげで外からでも情報は集められた。よくやった」
「ありがとう」

新城に褒められた。
嬉しいと思っていると瀬戸さんが新城の後ろを指さす。

「あ、いつかの侍」
「柳生さん!?」

後ろからヌッと現れたのは柳生十兵衛さん。
身の丈と同じくらいの籠を背負っている。

「久しぶりだな、雲川殿、そちらは……瀬戸ユウリ殿だったか?」
「どうして、柳生さんが?」
「侍がいるのもそうだけど、凍真!アンタ、今までどこにいっていたのよ!」

戸惑いながら僕達は新城へ詰め寄る。

「一度にたくさんの質問をするんじゃない。俺は聖徳太子でも何でもないからわかるわけない」

耳元で叫ばれて顔を顰めながら話をする新城。

「とにかく一個ずつ話をしていくからそこのベッドへ腰かけろよ」

指差されたベッドをみて、二度見する。

「え!?」
「あ、どうした?」
「嘘、なんで!」

僕に続いて瀬戸さんも驚いてベッドの上をペタペタと触る。
ベッドに休んでいた志我二衣さんがいなくなっていた。

「いないの!」
「何が?」

慌てる瀬戸さんが新城へ叫ぶ。
理解が追い付いていない新城と柳生さんに簡潔に伝える。