――コンコン。
窓をノックする音が聞こえてきた。
「なに?」
窓をみるけれど、誰もいない。
空耳だろうか?と思った所で再びノックする音が聞こえた。
「窓は鍵を?」
「閉めている」
警戒する様子で伝える瀬戸さん。
僕は上着に隠している十手を取り出してゆっくりと窓へ近づく。
鍵を外した途端に襲われるかもしれない。
何が出るかわからないけれど、僕はゆっくりと窓を開けようとする。
バーン!と大きな音を立てて窓が開く。
「うわっ!」
大きな音に驚きながらも目の前の相手に十手を振り下ろそうとする。
「誰に向かって振り下ろしてんだ。バカ」
十手を持つ腕が掴まれてそのままベッドの上に投げ飛ばされた。
ぐるんと視界が回りながらベッドの上に落ちる。
柔らかいベッドの上だったお陰で怪我はない。
それよりも、今の声。
「ったく、いきなり襲い掛かるなんて、人の顔を忘れたのか?」
「新……城?」
「そうだよ。俺だよ」
窓の縁に腰掛けながら僕にニヒルな笑みを浮かべている新城凍真。
彼が、この館へやってきた。

