「そっか、あのおじさんも」

彼女に誘われて僕は部屋に来ていた。
ベッドの上では二衣さんが寝ている。

「彼女、あれから?」
「一応、食事とかもとってくれるけれど、三衣ちゃんがいなくなったショックが大きいみたい。このままだと倒れちゃいそうだから無理やりではあるけれど、食べさせているわ」

瀬戸さんの顔を見る。
疲労は出ているようだけれど、僕達みたいに諦めたり、悲観の様子はない。

「瀬戸さんは強いね」
「いきなり何よ?」
「いや、僕達は何も対処が思いつかず参りそうだけど、瀬戸さんは強いなと思って」
「アタシは、別に強くない……自分より、弱い奴を見ていて、放っておけなくていろいろと動いているから深く考えずに済んでいるだけ」
「放っておけなくて?」
「自分でもわかっていなかったけれど、意外とお節介焼きみたい……その相手が勘違いセクハラ女なのはどうかと思うけれど」
「言い方……」
「事実でしょ?」

フフッと笑う瀬戸さんをみて、思った。
僕は何を悩んでいたのだろう?
やるべきことは決まっているのに、新城がいないからうじうじと悩んでしまっていただけだ。
いつの間にか、新城に甘えている自分になっていた。

「ありがとう、瀬戸さん」
「え?は?いきなり何?」
「キミのおかげで僕のやるべきことを思い出せたよ」
「やるべきこと?」

力強く頷いた。
新城がいないから諦めるんじゃない。
僕は僕のできる限りの力で救える人を救うと。

「この事態がどういうものかわからないけれど、守れる人を守る、それが僕のやる事だから」
「よくわかんないけど、さっきよりマシな表情しているじゃん」
「ありがとう」

彼女に感謝を告げた時だ。