「田宮さんが消えた!?」
「そうなの」

朝、瀬戸さん達の分の朝食を取りに食堂へやってくると宮古島さんから話を聞かされて驚いた。

「取り決めで朝に待ち合わせをしていたでしょう?気になって田宮さんの所へ向かったら部屋がもぬけの殻だったの」
「逃げ出したかもしれませんが、最悪の結末を考えておいた方が良いかもしれません」
「一日に一人が消えるなんて、そんな」
「私達も最悪の事態を考えないといけないかもしれないわ」
「いっそ、屋敷から出るというのは?」
「何が原因でこのような事態が引き起こされているのかわからない以上、外に出た瞬間に命を落とす危険性もありえるわ」

外へ逃げることは避けた方がいいわけか。

「救助を求めるという考えは」
「頼りになる人がいればいいけれど、私の伝手にこの事態を解決できる人はいないの」
「解決できる人」

頭に浮かんだのは新城。
けれど、新城は連絡がつかない。
新城がいればこんな事態、すぐになんとかしてくれるのに。
彼がいないと何もできない無力感を思い知らされて辛い。

「私達はこの事態に対処ができていない。自衛第一で考えていた方が良いわ……正直、それも最善と言えるか怪しいけれど」

宮古島さんは疲労を感じている様子だった。
正直、僕も怪異と戦ってきた経験がなければおかしくなりそうだ。
ふらふらと部屋に戻ろうとすると、隣の扉が開く。

「雲川?」

瀬戸さんが顔を出す。